不当な取引制限(研修H18.4. 694-81他)
2007年 02月 07日
1)「共同して」
行為者間に何らかの意思の連絡があることを指し、
この意思の連絡は、順次連絡や暗黙の合意でも足りると解される。
2)「相互に…拘束し」とは、同一取引分野に属する事業者相互間が、
その事業活動に関して共同行為を行うことの合意をすることにより、
本来自由であるべき事業活動を拘束することをいうと解される。
参照:石油カルテル事件(最判2小昭和59.2.24刑集38-4-1287)
3)不当な取引制限の実行行為に関し、
相互拘束の合意のみが実行行為となるのか、
それともこれに基づく共同遂行行為も実行行為の内容をなすのか。
(実益:罪となるべき事実、犯罪の終期、公訴時効の成否等)
→共同遂行行為も別個独立の実行行為
参照:防衛庁石油製品談合事件(最判2小平成17.11.21判タ1197-138)と、
その東京高裁判決(東高判平成16.3.24判タ1180-136)
なお、入札談合は、基本ルールの合意形成行為+個別の受注調整行為で、
基本ルールの合意形成行為→相互拘束行為
個別の受注調整行為→遂行行為
両方考えられる。
∵競争の実質的制限としてどちらも軽重なく、
「又は遂行する」という明文の規定がある。
実益:基本ルールの合意を形成する行為が相当古い時点で行われている場合、
または、合意形成行為自体について判然とせず、日時、場所、関与行為者等の
立証が困難であるものの、物証等により基本ルールの存在を前提とする
個別の受注調整行為が行われたことの立証が可能な場合
課徴金算定の基礎となる「当該役務」(の売上額)は、
基本ルールの対象とされる役務の範囲とされる。
→基本合意の対象から明治的に除外された特段の事情のない限り、
個別物件は基本合意の拘束を受けていると考える。
→では、遂行行為で実行行為をとった場合はどうなるのか?
実行行為は、合意によって意思を拘束する行為自体を意味し、
意思の拘束が継続している状態を含まない(継続犯ではない)と解することが妥当。
∵入札談合の合意が継続しているというのは一種のフィクションで、
その実体は、新たな会合や新たな入札ごとに、
各会社の担当者によって合意の存在が確認されているに過ぎない。
合意の形成、維持、具体的な入札者の決定に関与する行為者が別の場合も多い。
土屋企業事件(東高判平成16.2.20金判1189-28)では、
いずれか2社を落札者にするという内容の基本合意のルールに従った
受注調整行為が入札参加者間にあった。
→協和エクシオ事件と同種といえるか?
4)既遂時期
事業者が他の事業者と共同して対価を協議・決定する等
相互にその事業活動を拘束すべき合意をした場合(公正競争阻害性あれば)、
直ちに既遂に達し、決定された内容が各事業者によって実施に移されることや、
決定された実施時期が現実に到来することなどは、不要。
5)官制談合
たとえ官側が実質的に取引制限を指示、要請、主導したような場合でも、
指名競争入札制度上、そもそも指名業者には、発注者の意向等にかかわらず、
入札に際して自由競争をすることが制度上予定されている。
→これを妨げるような所為にでることはおよそ許されない。
なお、発注者側自体において当該一定の取引分野内の競争性を否定している以上、
事業者において競争を実質的に制限する余地がないのではないかと思われるが、
上記のように、官側が指示、要請、主導した場合にも事業者にこれに従う義務はなく、
自由競争の余地は否定されないから、競争を実質的に制限することになる。
6)「公共の利益に反して」
原則としては、独禁法の直接の保護法益である
自由競争経済秩序に反することを意味する。
現に行われた行為が形式上不当な取引制限に該当する行為であっても、
上記法益と当該行為によって守られる利益とを比較衡量すれば、
一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進するという
究極の目的に実質的には反しないと認める例外的な場合を、
例外的に「不当な取引制限」行為から除外する趣旨を含む。
行為者間に何らかの意思の連絡があることを指し、
この意思の連絡は、順次連絡や暗黙の合意でも足りると解される。
2)「相互に…拘束し」とは、同一取引分野に属する事業者相互間が、
その事業活動に関して共同行為を行うことの合意をすることにより、
本来自由であるべき事業活動を拘束することをいうと解される。
参照:石油カルテル事件(最判2小昭和59.2.24刑集38-4-1287)
3)不当な取引制限の実行行為に関し、
相互拘束の合意のみが実行行為となるのか、
それともこれに基づく共同遂行行為も実行行為の内容をなすのか。
(実益:罪となるべき事実、犯罪の終期、公訴時効の成否等)
→共同遂行行為も別個独立の実行行為
参照:防衛庁石油製品談合事件(最判2小平成17.11.21判タ1197-138)と、
その東京高裁判決(東高判平成16.3.24判タ1180-136)
なお、入札談合は、基本ルールの合意形成行為+個別の受注調整行為で、
基本ルールの合意形成行為→相互拘束行為
個別の受注調整行為→遂行行為
両方考えられる。
∵競争の実質的制限としてどちらも軽重なく、
「又は遂行する」という明文の規定がある。
実益:基本ルールの合意を形成する行為が相当古い時点で行われている場合、
または、合意形成行為自体について判然とせず、日時、場所、関与行為者等の
立証が困難であるものの、物証等により基本ルールの存在を前提とする
個別の受注調整行為が行われたことの立証が可能な場合
課徴金算定の基礎となる「当該役務」(の売上額)は、
基本ルールの対象とされる役務の範囲とされる。
→基本合意の対象から明治的に除外された特段の事情のない限り、
個別物件は基本合意の拘束を受けていると考える。
→では、遂行行為で実行行為をとった場合はどうなるのか?
実行行為は、合意によって意思を拘束する行為自体を意味し、
意思の拘束が継続している状態を含まない(継続犯ではない)と解することが妥当。
∵入札談合の合意が継続しているというのは一種のフィクションで、
その実体は、新たな会合や新たな入札ごとに、
各会社の担当者によって合意の存在が確認されているに過ぎない。
合意の形成、維持、具体的な入札者の決定に関与する行為者が別の場合も多い。
土屋企業事件(東高判平成16.2.20金判1189-28)では、
いずれか2社を落札者にするという内容の基本合意のルールに従った
受注調整行為が入札参加者間にあった。
→協和エクシオ事件と同種といえるか?
4)既遂時期
事業者が他の事業者と共同して対価を協議・決定する等
相互にその事業活動を拘束すべき合意をした場合(公正競争阻害性あれば)、
直ちに既遂に達し、決定された内容が各事業者によって実施に移されることや、
決定された実施時期が現実に到来することなどは、不要。
5)官制談合
たとえ官側が実質的に取引制限を指示、要請、主導したような場合でも、
指名競争入札制度上、そもそも指名業者には、発注者の意向等にかかわらず、
入札に際して自由競争をすることが制度上予定されている。
→これを妨げるような所為にでることはおよそ許されない。
なお、発注者側自体において当該一定の取引分野内の競争性を否定している以上、
事業者において競争を実質的に制限する余地がないのではないかと思われるが、
上記のように、官側が指示、要請、主導した場合にも事業者にこれに従う義務はなく、
自由競争の余地は否定されないから、競争を実質的に制限することになる。
6)「公共の利益に反して」
原則としては、独禁法の直接の保護法益である
自由競争経済秩序に反することを意味する。
現に行われた行為が形式上不当な取引制限に該当する行為であっても、
上記法益と当該行為によって守られる利益とを比較衡量すれば、
一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進するという
究極の目的に実質的には反しないと認める例外的な場合を、
例外的に「不当な取引制限」行為から除外する趣旨を含む。
by catsleeps
| 2007-02-07 20:56
| 経済法のこととか