抗告訴訟の既判力と国家賠償訴訟
2006年 10月 06日
実は既判力ではなく、実体法の解釈の問題に帰結する。
結論として、判例は、二元説。
これは、違法性という概念の内容が、
その法的効果との関係で決定される評価的なものだから。
***
まず、処分の違法性には段階が2つ。
1)処分要件を充足するか
2)処分の法的効果を他の目的のために濫用していないか
で、具体的に考えると、
取消訴訟における処分の違法性は、
処分にその本来の法的効果を付与するための要件(処分の適法要件)の問題。
これに対して、国家賠償訴訟における処分の違法性は、
国家が個人に対する関係で、
損害賠償義務を負う要件(職務行為基準)の問題。
これは、結果不法ではなく、行為不法とされている。
つまり、結果的に処分要件を満たさないことが不法なのではなく、
国民の権利利益を侵害する行為をするに当たって、
公務員が職務上尽くすべき義務に背くことが不法。
単純に言うと、処分要件を欠く処分が、
直ちに国賠法上も違法の評価を受けるべきものではないから、ということか。
***
具体的に整理すると、まず、
処分要件を定める行政法規に適合しているか否かが、
取消訴訟の判決によって既判力を持って確定される。
この判決の既判力は国家賠償訴訟に及ぶ。
すなわち、処分の違法が取消訴訟によって確定された後
(=処分要件を充足していなかったことが確定)に、
国又は地方公共団体が、国家賠償訴訟において、
処分が適法(処分要件の充足)であることを主張することは、
前訴の既判力でできない。
しかし、処分要件を充足していなかったとしても、
直ちに、それが公権力の行使に当る公務員の、
職務上の義務違反(違法な公権力の行使)になるわけではない。
他方で、取消訴訟で原告が敗訴した後
(処分要件は充足されていたことが確定)に、
原告が、国家賠償訴訟において、
処分が違法(処分要件の欠缺)を主張することは、
前訴の既判力でできない。
しかし、行政庁が、当該処分の法的効果を、
私人の権利を侵害するという目的のために
濫用したような例外的な場合には、
違法な公権力の行使に当たることになる。
結論として、判例は、二元説。
これは、違法性という概念の内容が、
その法的効果との関係で決定される評価的なものだから。
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まず、処分の違法性には段階が2つ。
1)処分要件を充足するか
2)処分の法的効果を他の目的のために濫用していないか
で、具体的に考えると、
取消訴訟における処分の違法性は、
処分にその本来の法的効果を付与するための要件(処分の適法要件)の問題。
これに対して、国家賠償訴訟における処分の違法性は、
国家が個人に対する関係で、
損害賠償義務を負う要件(職務行為基準)の問題。
これは、結果不法ではなく、行為不法とされている。
つまり、結果的に処分要件を満たさないことが不法なのではなく、
国民の権利利益を侵害する行為をするに当たって、
公務員が職務上尽くすべき義務に背くことが不法。
単純に言うと、処分要件を欠く処分が、
直ちに国賠法上も違法の評価を受けるべきものではないから、ということか。
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具体的に整理すると、まず、
処分要件を定める行政法規に適合しているか否かが、
取消訴訟の判決によって既判力を持って確定される。
この判決の既判力は国家賠償訴訟に及ぶ。
すなわち、処分の違法が取消訴訟によって確定された後
(=処分要件を充足していなかったことが確定)に、
国又は地方公共団体が、国家賠償訴訟において、
処分が適法(処分要件の充足)であることを主張することは、
前訴の既判力でできない。
しかし、処分要件を充足していなかったとしても、
直ちに、それが公権力の行使に当る公務員の、
職務上の義務違反(違法な公権力の行使)になるわけではない。
他方で、取消訴訟で原告が敗訴した後
(処分要件は充足されていたことが確定)に、
原告が、国家賠償訴訟において、
処分が違法(処分要件の欠缺)を主張することは、
前訴の既判力でできない。
しかし、行政庁が、当該処分の法的効果を、
私人の権利を侵害するという目的のために
濫用したような例外的な場合には、
違法な公権力の行使に当たることになる。
by catsleeps
| 2006-10-06 20:24
| 行政法のこととか