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日々のだらだらを


by catsleeps
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法解釈

行政法では、個別法の解釈について、
塩野先生が「仕組み解釈」ということを言っているのですが、
うちの行政法の先生は、「それは単なる当たり前の法解釈」といってました。

さて、なんでそんな話をするかというと、
ジュリスト1392-54にこんな話が載っていたからです。

【座談会】債権法改正をめぐって―裁判実務の観点から
房村精一東京高裁判事の発言(整形と下線は引用者による)
「いま細川さんも言われましたが、
日本の民法の場合、条文を見てもわからない。

教科書あるいは判例を見なければわからないものですから、
条文を読むという作業を法律を勉強する人がみんなしないのです。

民法は教科書などがあるからよいのですが、
それ以外の法律が問題になったときに条文を読んでこないのです。

何かと解説したものを探す。

それがないと仕方がないから条文を読むのですが、
条文を読む場合でも、その条文しか読まない。

法律というのは全体が大きな枠組みになっているわけですから、
全体の構成がどうなっていて、その中でこの条文がどういう位置にあって、
他の制度とどういう関係があるのだということをある程度理解しないと、
条文そのものを眺めてもわからない
のですが、
そういう作業をする法律実務家は本当に少ないと思います。」

基本的に僕がロースクールの2、3年生とゼミをするときには、
1つの科目の指導でもほかの科目の勉強に活きる話をしようと思っていて、
行政法の仕組み解釈の話をして、実は仕組み解釈という発想は、
どの科目にも通じるんだ、むしろ法解釈そのものなんだよー、という話をしたりするので、
心強い発言だなー、と思って紹介する次第です。

まあ、でも最近学校指定の教科書が、
塩野から宇賀に変わったので、
なかなか理解してもらいにくくなりましたが……。

ちなみに高橋和之先生の憲法の教科書の統治の部分がわかりにくいのは、
憲法の統治の条文を仕組み解釈しているからで、
それまでの芦部先生の憲法が、英米法の理論を前提として、
憲法理論の解説をする中で、日本国憲法に触れるのとは、
発想が真逆だからだと思います。

と、今書いてて思ったのですが、内田民法が読みにくい理由も、
条文の趣旨とかしっかり書いていないからだと思っていましたが、
ひょっとして、パンデクテン方式→大陸法系→演繹論に対して、
帰納的な(機能的な)アプローチをする英米系の発想で、
民法の解説をしているからじゃなかろうか、と思ったり。
例の財産法、契約法、不法行為法、金融法とかの観点でわける感じの。

あ、あと新会社法も、
ガバナンス、ファイナンス、M&Aぐらいで読むほうが理解しやすいですが、
条文は頭に入りませんねえ。
by catsleeps | 2010-05-16 23:29 | 弁護士業務のこととか